
株式会社台湾番長のクライアントを紹介していくシリーズ、第2弾は、浅草の劇場「浅草香和(かぐわ)」を手がけるかずみさんです。ダンサーとして生きてきた20年近いキャリアを経て、なぜ台湾を次の舞台に選んだのか。お話をうかがいました。
かずみさんがダンスの世界に入ったのは25歳のとき。幼少期から高校時代まではバトントワリングをしていた。大学でダンスサークルに入り、語学留学を兼ねてロサンゼルスへダンス留学もしたが、当時はダンサーになるつもりはまったくなかった。
卒業後は不動産会社に就職したものの、しっくりこずに退職。事務の仕事をしながら、アフターファイブにバーでアルバイトをしたり、仲間とダンスイベントを開いたりする日々を送っていたところ、当時の社長から声がかかり、六本木の「六本木香和(かぐわ)」に入った。そこから、かずみさんのダンサーとしての人生が始まった。
2015、16年頃からはショーのプロデュースも手がけるようになり、女子トップとして座長格の役割を担うようになった。しかし都市開発による閉店、コロナ禍での運営会社の倒産など、拠点を失う出来事が何度も続いた。「もう色々あって。でもせっかくここまで来たから、と思って」と腹をくくった。

神田明神やそのほかの箱を転々としながら仲間と活動を続けていたときに、浅草で新しい劇場を立ち上げる話が持ち上がった。しかしパートナーとなるはずだったオーナーが直前で撤退するという出来事が起きた。
「上に人がいるとこういうことになるんだなと再認識して。じゃあもう自分でやろう、と思って、銀行からお金を借りてスタートしたのが今のお店です」
それが「浅草香和」であり、2026年現在は3年目を迎えている。オープン当初は苦戦したが、3カ月ほどで軌道に乗り、海外からの観光客に支えられる劇場へと成長した。
「浅草っていう土地は本当に運が良いことに、海外の方がいっぱいいて。夜のコンテンツが少なかったこととうまくマッチしたんです」
浅草香和の経営が安定してきたことで、かずみさんの中で「このコンテンツを海外に持っていきたい」という長年の夢が現実味を帯びてきた。「和」のコンテンツが受け入れられやすいヨーロッパに本格的にチャレンジしたいとも考えているが、まず台湾で足場を固めようと考えたのには理由がある。
「ヨーロッパで本格的にビジネスをするには、ある程度名前が売れていないと話も厳しい。近場でチャレンジできて、親日家が多い国はどこだろうと考えたら、台湾一択でした」

個人的には韓国が好きだというかずみさんだが、ビジネスとして飛び込むにはまだハードルが高いと感じている。一方の台湾には、よさこいや和太鼓など日本文化に関わる仲間たちが以前から足を運んでいる土壌があった。台湾の観光客が日本のOTA(オンライン旅行代理店)ではまだ十分に取り込めていない層であることも、浅草香和への送客という意味で追い風になりそうだという。
知り合いが台湾にいなかったため、経営者の集まりで話をしたところ外崎を紹介され、「ぜひやりましょう」と台湾進出プロジェクトが動き出した。
「今年の目標は海外進出、と決めたのが1月だったので、真由美さんとの出会いも、タイミング的にもすごく良かったなと思いました。自分の年齢的に考えても、踊り手としての現役でいられる時間もそう長くないので、ちょうどいい時に出会えたなって」
外崎について、かずみさんは意外な発見があったと話す。
「だいたい綺麗な人ってツンケンしてるイメージだったんですけど、真由美さんはめちゃくちゃオープンで。いろんな葛藤の中で経験を積んできた方なんだなというのがわかって、信頼できました」
現在はまだ、台湾ビジネスの土台を学び、準備を進めている段階だ。6月に商談会の機会があり、実際に「香和を台湾でどう売り込むか」というアイディアの着想を得た。さらに10月下旬のビジネスツアーの際には、台湾の人たちの前で実際に浅草香和のパフォーマンスを披露する予定だ。

台湾人は親日的でありながらも根はしっかりした商習慣を持っている、という研修での学びも印象に残っているという。わからないことがあればすぐに相談できる外崎の存在は、コンサルタントという枠を超えて、信頼できる「相棒」のような感覚でもある。
「私は究極の人見知りなので、仲良くなってから話が進むというところは正直ハードルが高い。でも、真由美さんのようにパッと相談できる相手がいるのはかなり心強いです」
今後の目標は、単に興行として公演をするだけでなく、台湾で行われる日本文化イベントのプロデュース側に加わることだ。
「日本文化をテーマにしたイベントなのに、日本人が見たら『あれっ』と思うような、日本人不在のものが多いと聞いたんです。演者だけじゃなくプロデュースや企画も手がけてきた強みを生かして、そこに入っていけたらと思っています」

和楽器奏者やお囃子、日本舞踊、大衆演劇など、周囲の仲間たちの力も借りながら、台湾の一角に「浅草」を作るような大きな目標も見据える。まずは現地に人脈を作り、小さくてもいいから踊る機会を増やしていくことから、その一歩を踏み出そうとしている。
「体が動くうちは自分が道を作って、一緒に連れて行った子たちに現場の判断を任せていく。今はもう何足もわらじを履いて頑張るところです」
台湾進出の準備を着々と進めているところだが、そこに加えて8月には、イギリス・エディンバラで開催された世界最大の総合芸術・文化の祭典『エディンバラ・フェスティバル』に参加した。台湾で足場を固めたいという思いは変わらないが、どれぐらい世界で自分たちの公演が受け入れられるのか、実力を試す絶好の機会だとも考えたからだ。
7公演を行い、最終公演は完売。さらに、エディンバラフリンジが公認しているAsian Arts Awardの最優秀ダンスショーも受賞した。いつか進出を…と考えているヨーロッパでも、大きな一歩を踏み出した。

目標と決めた海外進出への足がかりを、着々とのぼっているかずみさん。今後もさらなるチャレンジは続く。
浅草香和ホームページはこちら
Instagram @asakusakaguwa





