
株式会社台湾番長のクライアントを紹介していくシリーズ、第6弾は、食品に特化した海外展開サービス「Urelio」を展開する株式会社Coxin(コクシン)の加藤慶之さんです。すでに海外展開支援をしている加藤さんは、なぜ台湾番長と組んだのか。今後実現したいことなどもあわせて、お話を伺いました。
「Urelio」は、食品の海外進出を目指す企業を支援するサービスだ。AIなどを活用し、輸出を検討している国のデータを集めてきて、輸出したい商品と輸出先との相性を分析。どのように市場に入っていけばいいかという戦略を立て、ブランディング、その先のローカライズといったことまでをサポートする。
加藤さんはリクルートの求人メディアのシステムを作るエンジニアとして、キャリアをスタートした。その後同期が創業したスタートアップに参画し、ソフトウェア開発、事業責任者を経験。顧客に向き合い、「どうやって価値を届けていくのか」を考え抜く日々だった。在籍していたスタートアップがM&Aで買収されることになり、2024年に独立、株式会社Coxinを立ち上げた。
海外展開支援を始めたのは、特に海外経験があったから、というわけではない、逆に、自らが「簡単にできない」と思っていることだからこそ、課題が大きいだろうと考えた。

「私自身はエンジニアで、海外のソースに触れることも多いですが、日常的に触れていても『国内とは違う』『このままでは通用しない』とハードルを感じているところがあります。日本から海外にビジネスを広げる上で、このハードルをクリアしていくことにこそ価値があると、原体験として感じたのが事業のきっかけです」
「Urelio」を「食」に特化したサービスにしたのは、「家族の役に立ちたい」という思いもあった。加藤さんの妻の実家は農家だ。ITの力で家族の役に立つことを、事業としてやるならやりたい。自らも食べることが好きで、興味もあることから、今のサービスができあがった。
データを用いて分析、戦略を立てる「Urelio」だが、まだ海外の業者や販売代理店に大きなツテがあるわけではない。実際に販売を開始したいというニーズに応えたいと考えていた時に、外崎と出会った。台湾で実際に13年間ビジネスをしてきて、現地のネットワークを持ち、文化を理解している。まさに自分たちに足りないものを補ってくれる存在だと感じた。2025年の12月に正式に「台湾番長」のクライアントとなり、2026年からはチーム体制を整え、6月にはテストケースとして商談会に出展。10月には台湾番長主催の「日本文化Business Fes」にブース出展し、台湾の方に抹茶や日本産はちみつのPRをおこなった。
「Urelio」で現地の提案機会まで含めたスキームを作るのが今回が初めてだ。調査、PR、マーケティング、ブランディングといったデータを使った従来の提案と、実際に現地の空気を感じて、直接相手方と話して提案する。台湾でのスキームを成功のモデルケースとしたい、と加藤さんは話す。

「こういった現地での提案を、台湾から始められたのはよかったと思います。地理的にもすごく近いですし、輸送のリスクが小さいことが一番のポイントなのかなと思います。その分規制が厳しいところはありますが、逆にいうと台湾でしっかり通れば、他の国には行けると考えることもできます。なので、台湾で実績を作り、海外に向けての販売の地盤を作っていこうと考えています」
台湾を海外の第一歩目として整えていくことは、食品の業界にとっても価値があることだ。日本から直接運ぼうとすると難しい国、便が少ない国でも、台湾を経由することで意外と活路が見出せたりする。台湾がハブとなり、その先のアジア、さらにその先への道を開いてくれる可能性は大きい。
現在は「Urelio」で受けた顧客の商品を、外崎に営業マンとなってもらい、テスト的に台湾で提案する、というフェーズだ。提案を繰り返すことで、「この情報がもっとあったほうがいい」「こういう見せ方をしないと刺さらない」ということを実際に生きた情報として集め、地盤作りの一歩を踏み出している。
自社だけでは「こうかもしれない」という仮定、仮説のみで動かなければならなかったところ、外崎と組むことで「かもしれない」をなくすことができているのがありがたい、と加藤さん。自分たちだけでは出会えなかった人と繋がれるのも、サポートを受けて感じるメリットだと話す。
まずは海産物、特にカニ。それからブランド米や健康食品などをどのように訴求していけるかを探っていく。台湾では旧正月用に贈答品を贈る習慣があり、その商戦は前年の9月、10月から始まる。そこにしっかりと提案を当てられるように、準備を進めている。

準備期間もあり、ベストなタイミングではあるが、「1回いって絶対うまくいく、ということはないです」と外崎にも言われている。そこは加藤さんも心得ているところではある。
「大事なのはタッチし続けることなのかなと思っています。『海外に進出したい』と考えている日本国内のメーカーさんが、継続してチャレンジしていけるようなサービス設計をして、我々も提供していく、ということは今後も改善して努力していくポイントかなと思います」
これからも挑戦したい、トライしたいと考える人たちをできるだけ支援していきたい。テクノロジーの力で自動化できるところは自動化し、人間が見なければいけないところにより集中していく形を作っていく。
「海外展開そのものは、簡単にはできないものだと思っています。だからこそトライしていきますが、なるべくみんなが途中で諦めず、いいものが世界に出ていくようなサポートをしたいですね。と同時に、世界に出ていくためにある程度覚悟を持って臨まなければいけない、というのをできるだけわかっていただくとか、覚悟を持って臨めるようにする、というのが我々の仕事だと思っています」

いいものを海外に出して、価値を知ってもらう。初めから海外を念頭にする事業者が増えていけば、本当の意味で産業が盛り上がっていく。10月のイベントでは、たくさんの台湾の人たちの「この商品いいね!」という声も力になった。台湾を足がかりに、加藤さんの挑戦は始まったばかりだ。





