
株式会社台湾番長のクライアントを紹介していくシリーズ、第5弾は、組織マネジメント事業を手がける株式会社Bright Muse代表の竹下綾美さんです。研究職からハンドメイドスクール、そして組織マネジメントの専門家へ。台湾進出を機に自らも変わろうとしている竹下さんに、お話をうかがいました。
竹下さんはもともと、理工学部を卒業したバリバリの理系。ディスプレイ向けの透明プラスチック素材を研究する研究者だった。iPhoneやパソコン、カーナビ画面などに使われる、透明でありながら耐熱性や光学特性に優れた素材の合成を手がけていた。
新規研究の分野で、世の中にないものを合成する仕事。通常、あらゆるものはAを上げるとBは下げる、トレードオフの関係にある。しかし求められるのは「AもBも上げろ」ということ。「ずっと矛盾にチャレンジし続けていたという感じですね」と振り返る。
研究職という特性上、周りは男性、かつこだわりの強い人たちばかり。「女性で、学部卒だから、ただでさえ不利。そこを埋めるには、誰よりも働かないと…と思っていました」。研究室に泊まり込むことも日常茶飯事。とにかく働いて、働きまくっていた。

キャリアの転機は出産だった。復帰しても、夜中まで働くような働き方は難しくなるだろうと見越し、育休中に起業。趣味で天然石をハンドメイドでペンダントに仕立てていた経験をもとに、スクール事業を始めた。平日日中に動けなくても回るモデルとして通信講座の形をとったところ、地方のママたちから大きな支持を得た。
「もともとキャリアはあったけど、出産を機に家にこもってしまって、自分のやりたいことがうまくできない人がこんなに多いんだな、というのがそこで初めて気づいたことでした」
研究職には一度復帰したものの、時短では価値を提供できない、と辛さも感じてしまい退職。子育てをしつつ、自らの事業を成長させようと取り組んだ。
事業が大きくなる中で、竹下さんは自分がチーム化を得意としていることに気づく。バリバリ働いていた研究者時代、25、6歳ごろからプロジェクトリーダーを担当し、同時に15個ほどのチームを動かしていた経験もあった。
「価値観も特技も違う人たちが集まって、それぞれの良さを持ち寄ることで、集合体としての価値が最大化していく。それが会社の事業としての社会価値につながっていく、というのが、すごく面白いなと感じたんです」
そこから、マネジメントについて自分なりに研究をするようになった。それと並行して、ある会社に役員として参画。ナンバー2としての経験を5年ほど積んだ。その経験ももとに自らの理論を執筆し、昨年12月に『任せるの壁』を出版。BtoB向けの組織マネジメントにさらに力を入れていく予定だ。

もう一つ事業の軸となっているのは、時間価値デザイン理論を落とし込んだ「時間を価値に変える」ロジカルキャリア手帳だ。一人ひとりの価値を最大化するような時間の使い方を多くの人に伝えていくことも目標としている。すでに著書を読んだ人、講演会を聞いた人などから企業研修の依頼も入っている。
台湾との縁は、昨年2月にたまたま主宰している経営者向け講座の卒業旅行で訪れたことに始まる。その8か月後の11月、外崎が企画した台湾視察ツアーの話を聞き、「面白そうだな」という気持ちで参加した。
外崎と話しているうちに、「綾美さんも台湾やった方がいいですよ」と言われて、はじめはまったくイメージがわかなかった。しかし、台湾には日本にはないニーズもあるのではないか、そして自分の事業を広げるきっかけとなるのでは…との思いもあり、外崎とクライアント契約を結ぶことになった。

実際に事業として「台湾」を考え始め、4月にはビジネス目線での視察として訪問。それまで「観光地」として訪れていた時とは、ガラリと見え方が変わった。「想像するだけでもダメだし、リサーチだけでもダメ。やっぱり肌で感じるのって、重要だなと感じました」。書店のビジネス書コーナーを見て回った際も、意外と管理職向けの本が少ないこと、トレンドとしてまだビジネス書的な本はあまりなく、特に女性向けにライフスタイルを提示する書籍が特集されているなど、多くの発見があった。
『任せるの壁』はどちらかというと、日本の男性経営者にも響くような装丁、スタイルで執筆したものだったが、「女性として女性向けの本を出した方がいいんじゃないかな」という気づきにもなった。
このときの台湾行きで得た最大の気づきは、実は自分自身についてのものだった。ナンバー2として5年半、黒子役に徹してきたことで、無自覚のうちに「控える癖」がついていたと外崎に指摘されたのだ。
「真由美さんに『綾美さんってやる気があるのかないのかわからんなと思ってたけど、ナンバー2やってるって話を聞いて、それだと思ったんだよね』と言われたんです」
去年秋のクラウドファンディングや出版記念パーティーで、しっかりと表に立って動く自分をスタッフや周囲に見せたことも大きな転機になった。「これからは、もっともっとパワフルにやっていきたいと思っていますね」

外崎とも密にコミュニケーションをとり、今後の事業の方向性を確認しながら進めている。
「真由美さんは、クライアントのことを解像度高く理解しようとしてくれる。この人はこういう強みがあって、こういう性格で、というのをトータルで理解した上で、台湾でどう見せていくかを考えてくれるのがすごく伝わってきます」
6月の商談会では、台湾でアート策展人、ヒーラーや占い師としても活動し、自らのブランド「流 THE FLOW」を主宰する鄒琪(Chi)さんと縁がつながり、今後、女性向けのセミナーやツアーを一緒に開催していくことになった。10月の台湾ビジネスツアーの前日に、早速第一弾のセミナーが決定。来年の4月には沖縄でのリトリートツアーも予定されている。
台湾向けのインスタグラムアカウントも作成し、発信も少しずつ始めている。9月には「任せるの壁」出版記念講演会を開催し、ビジネスコミュニティも始動予定。竹下さんはこれまで以上にパワフルに、日本と台湾の両方で前進していくつもりだ。
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