
株式会社台湾番長のクライアントを紹介していくシリーズ、第3弾は、オリジナルクラフトジン「LiO(凛桜)」を手がける澤田りよさんです。新橋でバーを営みながら、人生デザインコーチとしても活動する澤田さんが、なぜ台湾へジンを届けようとしているのか。そこに至るまでの道のりをうかがいました。
澤田さんはもともと、10年間BtoBの海外営業畑を歩んできた。国内重工メーカーで海外営業5年、外資企業で日本への輸入を5年担当し、貿易の現場にずっと携わってきたキャリアの持ち主だ。
「大手で働いていたので、独立したらそういう海外の仕事はもう手放して、全然違う規模感の仕事になるんだろうなって、正直そこはちょっと諦めていたところがあったんです」
独立してからは、人生デザインコーチとして活動を続けてきた。キャリア、資産形成、あり方という3つの領域をトータルでサポートするコーチングを8年続け、資産形成の分野では金融リテラシーを学ぶコミュニティも運営している。

お店を持ったのは、2024年8月のこと。もともとお酒を飲みながら深い話をするのが好きだった澤田さんは、友人の場所を借りた「1日店長」の経験がきっかけで、新橋Barリガーレを開いた。
「1日店長をやってみたらすごく楽しくて、みんなも応援できてくれて。『じゃあ、自分の店を持ちたいな』と、本当に軽い気持ちで、半年後にはお店を出していました。流れに乗っていたら、という感じです」
お店を出したことで、それまでの仕事ではまったく縁がなかった人たちともたくさん繋がれた。「知識」を重要なものと捉えている澤田さん。人のバックグラウンドには知識が紐づいており、良質な知識があると選択肢が増え、間違いにくくなり、人生の質が豊かになる。そういった知識を持った人がつながるためのツールとして「リガーレ」の場、お酒がある、とも考えている。

「LiO」が生まれたのも、そんな「流れ」と出会いの中でのことだった。きっかけは、店を訪れたお客さんが、「こだわりを持っている蒸留所さんを知っています。オリジナルのジンを作れるけど、興味はありませんか」と声をかけてくれたのだ。「じゃあ、1回行きましょう、とお返事して、足を運んでみたんです」
その蒸留所とは、埼玉県川越市にある武蔵野蒸留所だった。単に酒を造るだけでなく、敷地内の森でジンには欠かせない原料であるジュニパーベリーを自社栽培していた。さらに地域貢献にも力を入れ、子どもたちの環境教育なども行っていた。コストパフォーマンスよりも品質を追求する姿勢に惹かれ、「ここでお願いしよう」と決めた。そして完成したのが、オリジナルジン「LiO」だ。
最初は自分の店で提供し、周りの人に飲んでもらえればという思いだけだった。しかし、転機が訪れた。外崎から台湾でのビジネス視察ツアーの開催を聞き、「海外が好きなので、内容も知らずに申し込んだ」というツアーで踏んだ台湾の地。そこで気づいた。
「これって台湾の方たちにもお届けできるんじゃないか、と思ったんです」
かつて10年間、貿易の仕事で世界とつながっていた澤田さんにとって、その気づきは自然な流れでもあった。「せっかくいいものを作るんだから、日本のマーケットに留める必要はないなと思って」。それまで考えもしなかったが、ビジネスツアーから帰国後に外崎と改めて話をして、本格的に台湾進出にチャレンジしていくことになった。

「LiO」の特徴は、檜、楠、クロモジを使った森の香りだ。温泉を思わせる落ち着いた香りは、アルコール感が苦手な人でもすっと飲みやすいと評判だという。ジュニパーベリーまで国産で作られているのも、業界では珍しい特徴のひとつだ。
台湾ビジネスツアーの参加者のひとりだったベンチャーキャピタリストの一言も印象に残っている。「日本だけをマーケットに見ている人には投資しない」という話を聞き、自分自身も知らぬ間に行動範囲を狭めていたことに気づかされたという。

外崎のコンサルタント、サポートについても、澤田さんは深い信頼を寄せる。
「大手の会社だと役割分担されていて、流れはわかっていても実務は知らないということが多いんです。真由美さんは実務も全部携わってきているから、心強いし信頼できますね」
ツアー初日のディナー時、台湾のライオンズクラブ会長がふらりと訪れた場面を目の当たりにし、外崎の人脈の広さと人柄をあらためて実感したという。「初めてお会いした時から、真由美さんは人としても素敵だし、周りの方も素敵なんだろうなと思いました。それを証明してくれるような出来事でしたね」
今年6月に外崎が主催して開催したBtoB商談会では、サンプルをハンドキャリーで持ち込み、実際に台湾の人たちに試飲をしてもらった。さらに台湾で飲食店を経営している人と繋がり、「日本産のジンは非常に人気がある」と教えてもらった。実際にお店に置いてもらえないか、すでに協議が始まっている。

10月下旬のビジネスツアーに付随するイベントでも、日本ならでは、「LiO」ならではの魅力をさらにアピールしていく予定だ。商品自体の展開としては、今後はイチゴや桜など、季節ごとのスペシャルバージョンも増やしていきたいという。
「そして台湾だけじゃなく、もっといろんな国に届けていけたらなと思っています」
バーの経営も、いずれは3店舗目まで広げたいとビジョンを語る澤田さん。コーチングの仕事と両立させながら、忙しい日々を送る。すべては「1回行きましょう」の一言から始まった、流れに乗る生き方の延長線上に、台湾という新しい舞台が待っている。





